社長が会社を畳む際の三つの選択肢

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1. 本記事の目的

本記事では、中小企業診断士の著者が、中小企業の代表取締役が会社を畳む際に、考えられる選択肢を解説します。ここでは、実際にあった相談を元に記事を書きたいと思います。

今回ご相談いただいたのは、とある理由によりここ二・三年で仕事がほぼなくなってしまった建設会社の社長です。年齢も来年で75歳であるため、会社をたたみたい。会社の解散方法について知りたいとのことでした。税理士にも相談しましたが、それには200万かかるとのことで、その金額の妥当性を含め相談に乗ってほしいとのことでした。

※私は法律の専門家ではないため、本記事では法律に関するアドバイスをいたしません。あくまで弁護士の友人から聞いた話をベースにしております。

2. 三つの選択肢の概要

会社を畳む際には、三つの選択肢が考えられます。一つ目が通常清算です。かかる費用は8万円~となっています。通常清算は、資産超過の場合に可能な手続きで、裁判所が関与せず、すべて企業側で手続が完結するという特徴があります。

二つ目は、特別清算です。特別清算は、「清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること」又は「債務超過の疑いがあること」に該当する株式会社が行う手続きです。費用は大体200万円と言われています。

三つ目は、破産です。支払不能や債務超過となっており、債権者の協力も得ることが難しいような場合や公租公課等の優先的な債権を弁済するに足りる資産がないような場合に選択することになります。費用は大体100万円と言われています。

3. 通常清算

通常清算では、裁判所が関与せず、すべて企業側で手続が完結する手続きです。資産超過の場合に選択することができるもので、大きく分けて全部で14項目の手続きがあります。社長一人で行えば一番安く済む方法ですが、面倒なので現実的ではないでしょう。そのため、お付き合いのある税理士や会計士の方に相談することをおすすめします。

期間は最低でも二カ月程度かかるそうです。

4. 特別清算

債務超過の場合に行う手続きとなります。詳しくは、清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること」又は「債務超過の疑いがあること」に該当する株式会社の場合は、特別清算を選択することになります。法人が経営者という個人に対して借入を行っているという状態であっても、債権放棄等の手続きを取らない限り特別清算となります。

利用されるシーンとしては親会社が子会社を破産させると、取引先にイメージが悪いから特別清算にしている例が多いです。しかし、特別清算の利用は件数が非常に少なく、東京地裁管轄で特別清算が年間130件しかありません。ちなみに、破産は2万件近く申請されています。

手続きとしては、普通清算に加えて、裁判手続きが必要になるそうです。そのため、費用も200万円近くかかり、期間も半年程度かかることもあるそうです。この場合は、税理士や弁護士に相談しましょう。

5. 破産

支払不能や債務超過となっており、債権者の協力も得ることが難しいような場合や公租公課等の優先的な債権を弁済するに足りる資産がないような場合、破産申立を選択することになります。

破産というと印象が悪いですが、前述のとおり債務超過の場合は破産を選択することが多いようです。あくまでも、破産するのは個人ではなく、法人であるため、法的には別の主体となるそうです。

破産の場合、期間は早くて三カ月、費用は大体100万円くらい要するようです。

6. まとめ

以上、中小企業の代表取締役が会社を畳む際に、考えられる選択肢を解説しました。どの選択肢が良いかは個人によるため、専門家に相談しましょう。

※私は法律の専門家ではないため、本記事では法律に関するアドバイスをいたしません。あくまで弁護士の友人から聞いた話をベースにしております。

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プロフィール

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このサイトを運営しているhk5です。
1991年生まれ、東京生まれ東京育ち。
都内の某私立大学を経て、某シンクタンクの支社決算業務の主担当として従事。 3年半勤務後、某コンサルテインングファームでAIプロジェクトの企画書作成、某金融機関のチャットシステム実装のPMO、某政府系組織のシステム企画の要件定義等を経験する。
現在、都内の某国立大学院で経営学を学習中。加えて、大学院と提携しているコンサルティングファームと協業し、将来の公立病院の経営戦略をテーマにレポートを執筆中。
また、中小企業診断士として、週1~4程度の頻度でベンチャー企業の業務を手伝い、新事業企画の立案や収支シュミレーションの作成等、パワーポイントを中心とした資料作成や市の融資相談員を行っている。
趣味は星野リゾートと離島巡り。日本中回りたいと思っている。
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