田舎にある観光地でカフェを経営する:資金調達編

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

1. 本記事の目的

本記事では、中小企業診断士の仕事の一つとしてお手伝いさせていただいた、東京や大阪といった大都市圏以外でのカフェの開業や経営のコツについて書かせていただきます。

地元や旅行で訪れて一目ぼれした土地で、自分のカフェを開業し経営したいという気持ちは多くの方がお持ちであると思われます。しかし、田舎にカフェ経営する場合でも、居抜き物件を使わない限り多額の初期投資を要する場合があります。そんな時は、自己資金に加え融資や補助金、クラウドファンディングを利用して、最適な資金調達をしましょう。

2. 田舎にある観光地の定義

私がお手伝いしているカフェの立地は、田舎にある観光地に位置しております。このカフェのスペックは、温泉があり、かつ最寄りの駅や空港から車で30分以上です。しかしその土地は、観光地としてのポテンシャルが高く、観光客が一年で大体50万人程度来ている所です。

最大の特徴としては、地元の結びつきが強いことや、車の利用者が多いこと、高齢者が多いことが挙げられます。このような土地は日本全国に存在すると考えられ、その土地でカフェの開業資金を調達する際の記事となります。

3. 資金調達方法①:自己資金

何よりもまず、カフェの開業資金は自己資金を最優先に考えましょう。都会のカフェですら経営は難しいのに、ましてや基本的に人が少ない田舎でカフェで成功するのには相当の努力と運が必要です。

ただ、居抜き物件を使わない限り、土地の購入や改築、備品の購入で1,000万円弱かかることとなるため、相当な貯金をする覚悟が必要です。ましてや、居抜き物件は田舎に少ないため、出店のプランは慎重に行うことが必要です。そのため、銀行からの借金をしてまで事業を行うよりも、自分で貯めたお金を中心にカフェは経営した方が良いです。そして、お金が尽きたら潔く諦めるのも一つの手です。

4. 資金調達方法②:銀行借入

基本的に自己資金だけでは出店費用が賄えない可能性があるため、その場合は銀行からの借入を考える必要があります。ただしメガバンクはカフェの出店に関して相手にもしてくれないため、日本政策金融公庫や地銀、信金の活用を考えます。

日本政策金融公庫には、「中小企業経営力強化資金」という制度があり、これをうまく活用しましょう。利用できる条件として、事業計画書を策定する等があります。この制度により最高7,200万円を借入することができ、事業計画の実施のために必要とする設備資金および運転資金に利用することができます。加えて、据置期間が2年程度設けられているため、2年で経営が安定する見込みがあればこの制度は大変ありがたいものになります。

【参考】中小企業経営力強化資金

銀行借入は日本政策金融公庫が一番借りやすい手段ですが、今まで預金等で地方銀行や信用金庫とお付き合いがある方は、事業計画書を銀行に持っていき、融資を受けるのも手段の一つとなります。特に地方の銀行や信用金庫にはビジネスに関する情報が多く眠っている可能性があるので、良い提携先等を紹介してくれるかもしれません。

5. 資金調達方法③:補助金

資金の調達方法には、補助金を利用するという手があります。例えば、東京観光財団が行う「インバウンド対応力強化支援補助金」という制度があり、インバウンド対応力強化のために新たに実施する事業に対し資金が提供されます。例えば、クレジットカードや電子マネー等の決済機器の導入から、公衆無線LANの設置等、カフェにとって必要不可欠な設備の購入にも適用できます。ちなみにこの補助金は、補助対象経費の2分の1までで、一店舗あたり上限300万円となっています。

また、各都道府県や市区町村には独自の補助金がある可能性があるので、HPの確認や担当課に相談してみましょう。

なお、補助金は投資を行った後に補助対象経費の何割かが文字通り「補助」されるものです。先にキャッシュアウトを要することに注意しましょう。

6. 資金調達方法④:クラウドファンディング

最近の資金調達手段の一つに、クラウドファンディングの活用があります。クラウドファンディングとは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語で、「インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する」ことを指します。

このクラウドファンディングの成功や失敗は、そのカフェの名前を検索した後にもインターネット上に残り、かつ検索結果の上位に表示されてしまう可能性があるので、仲介業者選びは手数料だけで考えるのではなく、サポート体制等を総合的に判断しましょう。

【参考】クラウドファンディングとは?投資結果と感想

7. 結論

地元や旅行で訪れて一目ぼれした土地で、自分のカフェを開業し経営したいという気持ちは多くの方がお餅であると思われます。しかし、田舎にカフェ経営する場合でも、居抜き物件を使わない限り多額の初期投資を要する場合があります。そんな時は、自己資金に加え融資や補助金、クラウドファンディングを利用して、最適な資金調達をしましょう。

そして、お金が尽きたら潔く諦めるのも一つの手です。

U-Mapでは、お仕事の依頼を承っています。
詳しくは、こちらから!

MaaSアプリ利用調査:SBBmobile

田舎にある観光地でカフェを経営する:経営戦略編

関連記事

  1. コワーキングスペースのWeWorkを使ってみた …

    1. 本記事の目的本記事では、ソフトバンクグループ(998…

  2. 中小企業診断士のお仕事②:理論政策更新研修実行委…

    1. 本記事の目的本記事では、謎の多い中小企業診断…

  3. なぜ日本の若者は消費をしないと言われるのか

    1. 本記事の目的本記事は、なぜ日本の若者は消費をしないか…

  4. 中小企業診断士と国内MBAのどちらを取得すべきか…

    1. 本記事の目的本記事では、中小企業診断士の著者が、中小…

  5. 日本企業において女性役員はなぜ増えないのか?

    1. 本記事の目的本記事では、日本企業において女性役員はなぜ増えな…

  6. 国の制度の解説:事業継続力強化計画とは?

    1. 本記事の目的本記事では、中小企業庁が管轄となり推し進…

  7. 国の支援制度の解説(2020年10月版):法人編…

    1. 本記事の目的本記事では、中小企業診断士の著者が、主に…

  8. ホテルのテレワークプランが500円で利用可能?多…

    1. 本記事の目的本記事では、東京都が「テレワーク緊急強化月間」に…

最近の記事

ツイッター

プロフィール

プロフィール

このサイトを運営しているhk5です。
1991年生まれ、東京生まれ東京育ち。
都内の某私立大学を経て、某シンクタンクの支社決算業務の主担当として従事。 3年半勤務後、某コンサルテインングファームでAIプロジェクトの企画書作成、某金融機関のチャットシステム実装のPMO、某政府系組織のシステム企画の要件定義等を経験する。
現在、都内の某国立大学院で経営学を学習中。加えて、大学院と提携しているコンサルティングファームと協業し、将来の公立病院の経営戦略をテーマにレポートを執筆中。
また、中小企業診断士として、週1~4程度の頻度でベンチャー企業の業務を手伝い、新事業企画の立案や収支シュミレーションの作成等、パワーポイントを中心とした資料作成や市の融資相談員を行っている。
趣味は星野リゾートと離島巡り。日本中回りたいと思っている。
PAGE TOP