ビジネスモデルキャンバスによる優良病院の分析 備前市立吉永病院編

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1. 本記事の目的

ビジネスモデルキャンバスによる優良病院の分析 概要編

ビジネスモデルキャンバスによる優良病院の分析 大分県立病院編

概要編でも述べた通り、ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルを記述、ビジュアライズし、新規事業や既存事業の評価、変革するためのフレームワークです。

今回の記事では、優良病院のビジネスモデルをビジュアライズすることで、病院における理想のビジネスモデルを規模ごとに導き出すことを目的とします。

優良病院とは、総務省の平成29年度地方公営企業年鑑の個表内の損益計算書 の中で、「経常収支比率および医業収支比率が100%を超えるという二つの条件を満たすもの」と定義します。

診療報酬改定の定義に則り、大病院は400床以上、中規模病院は399床~200床、小規模病院は200床未満と定義しました。本記事では、大規模と小規模の優良病院のビジネスモデルキャンバスを作成します。規模別に作成する理由は、それぞれに置かれている状況が全く異なるからです。

2. 備前市立吉永病院の概要

備前市立吉永病院は、岡山の備前市に位置し、常勤医師31名、非常勤医師24名と、小さな規模で運営しています。一般病床数は50床で、経常収支比率は102.3%、医業収支比率は102.4%と、優良病院の定義に当てはまります。

また本院は、平成18年の新築移転に伴う旧病院の取壊しによる特別損失計上の年を除き、30年間黒字経営を維持しています。

3. 備前市立吉永病院のビジネスキャンバス

小規模病院かつ優良病院である吉永病院のビジネスモデルキャンバスを、備前市病院事業改革プランおよび厚生労働省の医療法人と自治体病院等との連携の状況に関する調査研究報告書等により作成しました。

まず、ビジネスモデルキャンバスの右側の部分である、お客さんに関わる収入の部分を分析します。本病院は市立病院であるため、主要顧客の一つは備前市周辺の住民というそれほど広くない範囲を対象としています。

そのため、包括的に手厚いサービスを地域に根差して提供することが病院経営の上で鍵となる。包括的かつ手厚いサービスの一例として、急患含む患者だけでなく、地域の要介護者や要支援者も本病院は顧客として捉えています。

顧客セグメントを踏まえた上で、チャネルおよび価値提案、顧客との関係を分析します。「ミニ総合病院」を創り、地域医療の充実を図るという視点からは、来院や救急車というチャネルを通し、小規模病院にも関わらず19もの診療科目や二次救急を提供しています。また、本病院は地域住民にたいしての診療はもちろんのこと、周辺地域の病院が多くないという地域特性も踏まえ、訪問医療や看護を通し、在宅医療やへき地の医療支援を積極的に行っています。

加えて、顧客には要介護者や要支援者が含まれます。そのため、吉永地域の地域包括ケアシステムの中心的な役割を担うという価値提案を行い、デイケアセンターや居宅介護支援事業所を通して、介護による顧客との関係を築いています。以上、吉永病院は備前市の周辺地域に医療と介護という包括的なサービスを提供することにより、安定した収益を達成しています。

次にキャンバスの左側である活動とコストの部分の分析を行います。まず、医療と介護という二つのサービスを行うために医者や看護師、介護ヘルパー等のリソースを有しています。また、地域住民に充実した医療を提供するため、収益の大半を積極的に高度医療機器購入に企てています。

しかし、大分県立病院と同じく、備前病院でも課題として業界での深刻な医療従事者の不足や給与費の高騰が挙げられます。まず、医者の確保という課題に関しては、修学資金等貸与制度を創設し、独自の対策をとっています。看護師の確保に関しては、医師と同じく、修学資金等貸与制度を創設した他、院内保育所の設置等により離職率の減少を図っているのです。緊急時には、非常勤医師に診療を依頼する代わりに、病院間で不足する診療科の医師を相互に派遣することで、給与費を節減しています。

加えて早い段階から、医師や看護師が行う検査や処方などの指示を電子的に管理する医療情報システムオーダリングシステムを導入しています。本システムの導入により、診療にかかわる一連の業務を迅速化し、コスト削減を図っています。
以上施策により、本病院は人材の確保および給与費、経費の抑制を実現しつつ地域住民の信頼を勝ち得ています。このように良好な収益構造とコスト構造を有していることは、ビジネスモデルキャンバスで確認できます。

4.ビジネスモデルキャンバスによる優良病院の分析まとめ

前回挙げた大分県立病院も含め、今回挙げた二つの病院は規模や置かれた状況が全く異なります。しかし、両病院とも共通して言えることは、ビジネスモデルキャンバスを作成した際に、顧客の状況と収入である右側と、コスト構造である左側がそれぞれ綺麗な流れで描くことができ、強固なビジネスモデルを有していることが分かります。

政府の財政状況が厳しい中、公立病院も経営の自立が求められているため、経営の一環としてビジネスモデルキャンバス等の可視化ツールを使用し、それぞれのビジネスモデルを各自で考える必要があると私は提案します。

ビジネスモデルキャンバスによる優良病院の分析 概要編

ビジネスモデルキャンバスによる優良病院の分析 大分県立病院編

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ビジネスモデルキャンバスによる優良病院の分析 大分県立病院編

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プロフィール

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このサイトを運営しているhk5です。
1991年生まれ、東京生まれ東京育ち。
都内の某私立大学を経て、某シンクタンクの支社決算業務の主担当として従事。 3年半勤務後、某コンサルテインングファームでAIプロジェクトの企画書作成、某金融機関のチャットシステム実装のPMO、某政府系組織のシステム企画の要件定義等を経験する。
現在、都内の某国立大学院で経営学を学習中。加えて、大学院と提携しているコンサルティングファームと協業し、将来の公立病院の経営戦略をテーマにレポートを執筆中。
また、中小企業診断士として、週1~4程度の頻度でベンチャー企業の業務を手伝い、新事業企画の立案や収支シュミレーションの作成等、パワーポイントを中心とした資料作成や市の融資相談員を行っている。
趣味は星野リゾートと離島巡り。日本中回りたいと思っている。
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