私が中小企業診断士協会を辞めた理由

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1. 本記事の目的

本記事では、中小企業診断士の著者が、中小企業診断士の方なら一度はおそらく入会するであろう中小企業診断士の協会を辞めた理由をお話しします。

結論として、協会の入会は独立診断士や登録一年目の診断士には有用ですが、登録二年目以降の方や企業内診断士の方には不要であると考えました。そのため、登録三年目かつサラリーマンである私的には協会に入ることによるメリットが感じられなくなったのです。

基本的には東京協会のHPに記載の協会入会メリットから引用し、それに対する個人の見解を述べていきます。

2. 著者の中小企業診断士の経歴

まず、著者は2017年度の二次試験に合格しました。試験に合格すると、まず実務補修という実地研修を15日間受ける必要があります。
これが会社員にとっては時間的にも金銭的にも厳しいのです。

金額としては15日コースが16万3600円、5日間コースが5万5000円です。
なお、5日間コースの場合は診断士の登録要件を満たすために三回受ける必要があります。平日も研修を受ける可能性が高いため、私は1年に一回ずつ5日間コースの補修を受けて、2019年に登録しました。

登録には、一次試験合格後に登録養成課程を受ける手段もあるため、詳細はHPをご確認ください。

中小企業診断士の詳細や仕事の内容については、以下のリンクを参考にしてください。

【参考】中小企業診断士というは本当に食べていけないのか?

【参考】中小企業診断士の仕事の取り方

3. 中小企業診断士の登録と協会への入会

実務補修を15日間受け終えると、晴れて診断士に登録することができます。
必要な書類を担当部署に提出すると、登録の官報公示と中小企業診断士登録証の交付を受けられます。

ここで勘違いされる方が多いのは、協会に入会しなくても中小企業診断士の登録は受けられるという点です。しかし、私の周りではほぼ全ての人が入会しておりました。私自身も、登録と同時に東京協会に入会しました。

詳細は後述しますが、登録最初の一年間~二年間程度は入会していたほうという見方もあります。

4. 中小企業診断士の更新要件

中小企業診断士の登録は、他の資格と同様に5年毎に更新要件を満たさなければなりません。

中小企業庁のHPによると、中小企業診断士の更新要件は二つあります。
まず一つ目が、専門知識補充要件です。これは「理論政策更新(理論政策)研修の修了」「論文審査に合格」「理論政策更新(理論政策)研修講師を務め指導」を五回です。

二つ目が「診断助言業務等に従事」「実務補習を受講」「実習、実務補習を指導」を30日間です。

ここで言いたいことは、以上挙げた二つの要件を満たすことができれば中小企業診断士の資格は維持できるということです。要するに、必ずしも協会に入会する必要がないということになります。

5. 協会入会のメリット

では、協会入会のメリットは何があるのでしょうか。東京都中小企業診断士協会のHPによると、入会のメリットとしては以下の四点が挙げられています。

協会入会のメリット①:東京協会および6支部の研究会、プロコン塾に参加して、スキルアップを継続できます。

自分も某支部のプロコン塾に参加しました。診断士の一線で活躍されている講師の方の話が聞くことができ、非常に有意義でした。どういう診断士が食べていけるかということを見極めることができます。

研究会については、何度が参加させていただきましたが年間を通して参加した研究会は無かったです。理由としては診断士と一言に言ってもレベルにばらつきがあり、時間と金の無駄という判断です。

協会入会のメリット②:東京協会および6支部の各種イベントに参加することで、さまざまな属性を持った診断士会員との交流や人脈作りができます。

イベントは何度か参加し、名刺も交換しましたが、仕事に繋がるような人脈はできませんでした。これは個人的な素質が関係すると思いますので、一概には言えません。

協会入会のメリット③:資格更新情報や実務従事に関する情報をタイムリーに入手できます。

協会や支部から時々情報が記載されたメールが届きます。たまに仕事に繋がる情報もありますが、独立されている診断士の方向けの情報が多く、企業内診断士には意味のない情報が結構ありました。

自分は一応個人事業主として開業していますので、メールから一つだけ仕事を頂くことができました。

協会入会のメリット④:(一社)中小企業診断協会(連合会)が提供する各種サービスを受けられます。

このサービスは、主に「会員Myページ」によるサービスの提供と、機関誌「企業診断ニュース」の配布です。機関誌「企業診断ニュース」はたまに仕事に繋がる情報が見開きや背表紙に掲載されているため、そこだけはチェックしておくとよいです。

6. メリットに対する個人的な見解

個人的な見解を述べる前に、まず協会に払うコストを把握しておきましょう。コストには入会金と年会費があります。入会金は3万円、年会費は5万円です。本コストを念頭に、メリットと天秤にかける必要があります。

まず①のメリットに関しては、登録一年目の診断士には非常に有用であると言えます。診断士としての知識や心構えを体系的に学ぶことができるからです。ただ研究会に関してはただの仲良しグループではないか?と思われる会が多々見受けられたため、選別が必要です。

②に対しては、やはり登録一年目の診断士には非常に有用であると言えます。どのような人が診断士として登録しているかを把握できるためです。ただ「人脈」といっても仕事に繋がるような人脈は簡単にできるものではないです。

③に関しては、仕事に繋がる情報提供も一部ありましたが、仕事の斡旋に不公平性(特に独立診断士と企業内診断士)で生じており、不満がある人はいると思います。また実務従事ポイントの取得等は、大塚商会みたいな民間企業のプラットフォームが整備されてきたため、正直不要です。

④に関しては、「企業診断ニュース」の内容がコストに見合う内容かと考えると「おや?」と思うことが多く、個人的にはあまり必要がありませんでした。

以上より、協会の入会は独立診断士や登録一年目の診断士には有用ですが、登録二年目~の方や企業内診断士の方には不要であると結論づけました。
私は4月で登録三年目となるため、協会の退会を決めたということであります。

7. まとめ

今回は、東京協会の入会のメリットから四つのメリット引用し、それに対する個人の見解を述べてきました。

あくまでも個人的な見解であるため、協会の入会や退会の際には是非自分の意志に準じて良く考えてください。

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プロフィール

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このサイトを運営しているhk5です。
1991年生まれ、東京生まれ東京育ち。
都内の某私立大学を経て、某シンクタンクの支社決算業務の主担当として従事。 3年半勤務後、某コンサルテインングファームでAIプロジェクトの企画書作成、某金融機関のチャットシステム実装のPMO、某政府系組織のシステム企画の要件定義等を経験する。
現在、都内の某国立大学院で経営学を学習中。加えて、大学院と提携しているコンサルティングファームと協業し、将来の公立病院の経営戦略をテーマにレポートを執筆中。
また、中小企業診断士として、週1~4程度の頻度でベンチャー企業の業務を手伝い、新事業企画の立案や収支シュミレーションの作成等、パワーポイントを中心とした資料作成や市の融資相談員を行っている。
趣味は星野リゾートと離島巡り。日本中回りたいと思っている。
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