なぜライドシェアは日本で普及しないのか?タクシー業務の免許制について

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1. 本記事の目的

本記事は、なぜUberを中心としたライドシェアは日本で普及しないのかを法律の観点から論じた後に、タクシー業務が法律などによる「免許制」により守られている現状の是非を問います。

結論として、タクシー業務の「免許制」は二つの理由より望ましくありません。そのため、結論に対して、私はタクシー業務の「免許制」廃止を提言します。「免許制」の廃止は、市場の競争を促し、日本人だけに限らず外国人観光客の移動の利便性を高めるため、日本にとって不可欠な施策であります。

2. Uberを中心とした日本でのライドシェアリングの現状

Uberとは、米企業のウーバー・テクノロジーズが運営する自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリで、ライドシェアと呼ばれるサービスの先駆けと言われています。ちなみに、ライドシェアサービスとは、移動したい人とドライバーを結びつけ、車移動をシェアするプラットフォームを提供するものです。Uberは12月現在、世界71の国と地域、600以上の都市で利用可能であり、世界的なサービスとなっています。

同サービスが世界に広がる一方、日本においてUberのようなライドシェアサービスの利用者を見かけることはありません。その理由は、ライドシェアサービスに対し直接の競合であるタクシー業界が強く反発し、政府が法規制を変えないことで、有償でのライドシェアサービスが間接的に禁止されているからです。

3. タクシー業務の根拠法

昨今、某タクシー会社で600人のドライバーが解雇され、話題となりました。また、上場企業でもタクシー業務を営む第一交通産業(9035)神奈川中央交通(9081)大和自動車(9082)も直近の決算は揃って赤字で散々な状況となっています。では、タクシー業務とはどのようなものなのでしょうか。

タクシー業務の根拠法は「道路運送法第78条」です。その内容は、タクシー業務のように自家用自動車を有償で運送の用に供することは、個人タクシー事業者の資格の取得による政府の許可が必要であるということです。

資格の取得には、年齢やタクシーの運転経歴、道路交通法等の違反歴、資金等の要件を全て満たす必要があります。加えて、タクシードライバーになるためには、普通第二種免許の取得が必要です。これらの制度は、Uberなどにより運送の用に供することを間接的に禁止しているものです。

4. タクシー業務が「免許制」により守られている現状の是非

タクシー業務が「免許制」により守られている現状の是非を問われた場合、私は二つの理由より望ましくないと考えます。

一つ目の理由は、「免許制」でなくても、ドライバーの品質を担保する仕組みが用意可能であるからです。例えばUber は、利用者がドライバーを評価する評価システムを用意しており、低評価のドライバーに対しアプリへのアクセス権を剥奪するルールを定めています。このシステムは、質の悪いドライバーを市場から淘汰する役目を果たし、ドライバーの質を担保する役割を果たします。

二つ目の理由は、個人タクシーの資格要件が妥当でないからです。タクシー業務において、年齢やタクシーの運転経歴といった要件が必要ないと私は考えます。なぜならば、いくら業務歴を積んでいても、運転が下手で道が全然分からない質の悪いドライバーは一定数存在し得るからです。それは、「免許制」がドライバーの質を担保することができないことを意味しています。以上の理由より、結論として、タクシー業務の「免許制」は望ましくないと考えます。

5. 結論に対する提言

結論に対する私の提言は、タクシー業務の「免許制」廃止です。「免許制」の廃止は、市場の競争を促すことで、タクシー料金の低下や公共交通機関以外の移動手段の提供など、利用者に多大な利便性を与えます。

東京オリンピックや大阪万博を控え、今後も日本の外国人観光客の増加は予想される。官公庁によると、訪日外国人が旅行中に困ったことに「タクシーが捕まらなかった」という意見は一定数存在します。そのため、日本人だけに限らず、外国人観光客の移動の利便性を高めるべく、タクシー業務の「免許制」廃止は日本にとって不可欠な施策です。

【参考】官公庁のアンケート調査

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このサイトを運営しているhk5です。
1991年生まれ、東京生まれ東京育ち。
都内の某私立大学を経て、某シンクタンクの支社決算業務の主担当として従事。 3年半勤務後、某コンサルテインングファームでAIプロジェクトの企画書作成、某金融機関のチャットシステム実装のPMO、某政府系組織のシステム企画の要件定義等を経験する。
現在、都内の某国立大学院で経営学を学習中。加えて、大学院と提携しているコンサルティングファームと協業し、将来の公立病院の経営戦略をテーマにレポートを執筆中。
また、中小企業診断士として、週1~4程度の頻度でベンチャー企業の業務を手伝い、新事業企画の立案や収支シュミレーションの作成等、パワーポイントを中心とした資料作成や市の融資相談員を行っている。
趣味は星野リゾートと離島巡り。日本中回りたいと思っている。

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